顎関節症

あごが痛い。口を開けると音がする。大きく開かない。当院には顎関節症外来があり、月におよそ50名の方が受診されています。院長は顎関節症の研究で歯学博士号を取得しており、大学の口腔外科の協力を得てMRIによる検査も行っています。

こんな症状はありませんか

あごを動かすと痛む

耳の前あたりが痛む方が多いのですが、顔の側面から頭にかけて痛むため、頭痛だと思われている方もいます。肩こりや腰痛、手や指のしびれをともなう場合もあります。

口を開けるとポキッと音がする

開けるときにカクンと鳴る方は多くいらっしゃいます。何年たっても変化がなく、痛みもなければ、悪化することは多くありません。だんだん大きくなり「ザラザラ」「ギシギシ」という音に変わる場合は注意が必要です。

口を大きく開けられない

あごを動かすと痛むため、無意識のうちに周りの筋肉があごを押さえてしまい、開きにくくなります。

急に噛み合わせが変わった

関節や筋肉に問題があると、それらが動かしているあごの動き方が変わるため、噛み合わせも変わります。

成人の4人に1人はかかっているといわれる病気です。当てはまるものがあれば、早い段階でご相談ください。

「顎関節」はどこにあるのか

大きく口を開けてみてください。耳の穴の前、1cmほどのところに動く骨があります。これが顎関節、つまりあごの関節です。口を大きく開くと、この骨の出っ張りは通常、前後に1cmほど、左右対称に動きます。左右で動き方が違う、片側だけ音がするという場合は、負担が偏っているサインかもしれません。

女性の約2割に、その疑いがあるとされています

顎関節症の患者数は、ここ十数年で15倍に増えたともいわれます。お子さまから高齢の方まで幅広くみられますが、10代半ばから増えはじめ、20〜30代がもっとも多く、女性は男性のおよそ2倍とされています。男性の約1割、女性では約2割にこの病気の疑いがあるという報告もあります。

女性に多い理由ははっきりしていませんが、筋肉の緊張やストレスへの感受性が高いこと、痛みに敏感になりやすいこと、健康への関心が高いこと、女性ホルモンとの関係などが指摘されています。男女とも、あごが発達するにつれて症状が出ることが多く、小学校高学年から高校生ごろの発症も少なくありません。患者数の増加を考えると、若い世代の食習慣・生活習慣との関連もあるといえます。

顎関節症の原因

1. 噛み合わせ

噛み合わせが悪いと、噛むたびにあごがずれます。見た目にはきれいな歯並びでも、最後まで噛んだときに歯がずれた方向に収まってしまい、顎関節症を起こしやすい場合があります。

ご自宅でできる噛み合わせチェック

① 姿勢を正し、前を向いたままゆっくりと口を開けます。そのままゆっくり閉じたとき、上の歯と下の歯の全体が同時に触れない場合は、噛み合わせが合っていない可能性があります。

② 歯が触れ合っている状態から少しずつ強く噛み、大きく横や縦にずれる場合も、同じく合っていない可能性があります。

2. 精神的ストレス

顎関節症の方の多くが、精神的ストレスを抱えているといわれています。原因のひとつとされる歯ぎしりや無意識の食いしばりは、脳がストレスを発散させている行動と考えられています。ストレスが多いと、噛みしめる筋肉に疲労と緊張が生じ、あごのバランスが崩れます。

ストレスのチェック項目

  • 多くのことに対して完全主義である
  • 几帳面で、細かいことが気になる
  • 些細なことを感じ取る、繊細な性格である
  • 何事にも妥協せず、一生懸命に取り組む
  • 自分のことをもっと分かってほしいと思うことが多い
  • 物事へのこだわりが強い

3つ以上当てはまる場合、ストレスが多くかかっていると考えられます。

3. 外傷

あごに外から力が加わることでも起こります。おんぶしたお子さまが暴れて頭がぶつかる、ボクシングや野球、交通事故などが考えられます。痛むときに無理に噛むと悪化しやすいので、やわらかい食べ物を選んでください。ぶつけた直後は炎症が起きるため、できるだけ早く冷やすと治りが早くなります。

4. 日常の癖と姿勢

かつて顎関節症は噛み合わせが原因と考えられていましたが、最近ではあごに負担をかける生活習慣との関係が指摘されています。

  • 片方だけで噛む
    片側の筋肉ばかり使うため、その側に負担が偏り、あごがゆがみます
  • 横を向いてテレビを見ながら食べる
    あごと首は連動して動くため、首を横に向けたままあごを使うとゆがみます
  • ほほ杖をつく
    あごを横から押す力がかかり続けます
  • あごと肩で電話をはさむ
    横から押す力に加え、肩と首の筋肉が緊張します
  • 日中の食いしばり
    あごの関節にはてこの力がかかるため、噛む行為自体が大きな負担になります
  • 夜の歯ぎしり
    食いしばったままあごを横に動かすため、食いしばり以上の負担がかかります
  • 姿勢が悪い
    猫背だと顔に対してあごが奥に入り、開けにくい状態になります
  • 吹奏楽(トランペット・クラリネット・フルート)やスキューバダイビングの経験
    物をくわえる動作がきっかけになることがあります

2つ以上当てはまる場合は、顎関節症になりやすく、また治りにくい状態です。大あくびのあとや、固いフランスパンをかじったあとに発症することもあります。

注目されている「TCH(歯列接触癖)」

1日のうち、上下の歯が触れ合っている時間はどれくらいだと思われますか。答えは、たったの20分弱です。食べたり話したりするときに触れるだけで、それ以外の時間は上下の歯のあいだに数ミリの隙間があります。

ところが、必要もないのに歯を接触させてしまう癖があります。これがTCH(Tooth Contacting Habit=歯列接触癖)です。歯が触れているあいだは咀嚼筋が働いているため、ほんの少しでも筋肉に緊張と疲労が生じます。触れ合う時間が長くなるほど疲労が蓄積し、こわばった筋肉が顎関節に負担をかけ、無意識の食いしばりや、眠っているあいだの歯ぎしりとしてあらわれます。顎関節症でお悩みの方の7〜8割が、このTCHを持っているといわれています。

なぜTCHが起こるのか

TCHは、緊張しているときに起こります。人間関係の悩み、毎日のパソコン作業、精密さを求められる仕事。ストレスがたまりやすい環境です。疲れたときは本来、楽な姿勢でリラックスし、体をゆるめようとします。ところがストレスを感じているときは逆に、唇を噛みしめ、ぐっと体に力を込めてしまう。そこにTCHが生じる理由があります。

TCHを直すと、どうなるか

顎関節症に悩む多くの方がTCHを併せ持っていたことから、当院ではこの癖を是正する方法に取り組んできました。実際に、TCHを直しただけで、ほかには何もしていないのに顎関節症の症状が消えたという方が続いています。TCHが顎関節症をつくり出す大きな原因のひとつであることが分かってきました。

当院の顎関節症治療

口を大きく開けたときにあごからガクガクと音がする方は、顎関節症の可能性があります。そのままにしていると、口が開きにくくなるなどの支障が出てくるかもしれません。当院の顎関節症外来では、次のように進めていきます。

1. 検査まずはMRIなどによる検査を行い、関節と筋肉の状態を確認します。大学の口腔外科の協力を得て実施しています。
2. マウスピース
(バイトスプリント)
あごへの負担を減らします。やわらかいマウスピースは顎関節症には不向きとする研究結果があるため、当院では主に硬いタイプを使用しています。
3. マイオモニターあごの筋肉を低周波でマッサージし、緊張をゆるめる装置です。使用中は治療チェアがふさがるため導入している医院は多くありませんが、当院は2台設置しています。
4. 顎の体操・
リハビリテーション
ご自宅でも続けていただける運動をお伝えします。
5. 噛み合わせの改善必要に応じて、歯列矯正・インプラント・補綴治療を応用して噛み合わせを整えます。

症状が重くなると治療にともなう痛みは増える傾向にありますが、軽症であれば、ほとんど痛みなく治療を進めることができます。

顎関節症を、当院で診る理由

  • 院長は顎関節症の研究で歯学博士号を取得しています
  • 日本口腔外科学会の専門医1名・認定医2名が在籍しています
  • 顎関節症外来には、月におよそ50名の方が来院されています
  • 大学の口腔外科と連携し、MRIによる検査に対応しています
  • マイオモニターを2台設置しています
  • 院内に歯科技工士が3名在籍し、院内ラボを備えています。マウスピースの製作と調整を院内で完結できます
  • 鍼灸師の資格をもつ医師が在籍し、東洋医学の視点からの助言も可能です

よくある質問

Q. 矯正治療は顎関節症の原因になると聞きましたが、本当ですか。

A. 歯列矯正があごに負担をかけることはありますが、治療中に負担を軽くする配慮を行えば、ほとんど心配はいりません。当院では、あごの関節に症状がある方は、あらかじめあごの治療を行ってから矯正治療を始めます。矯正中も負担を軽くする配慮を行っています。

Q. 他院で作ったやわらかいマウスピースを持参すれば、治療を続けられますか。

A. 個人差や医療機関の考え方にもよりますが、やわらかいマウスピースは顎関節症には不向きであるとの研究結果がいくつか出ています。当院では主に硬いマウスピースを使用しているため、やわらかいタイプでの継続は難しいかもしれません。

Q. 治療は痛いですか。

A. 当院で行うのは、専用機器や歯科医師による筋肉のマッサージ、マウスピース治療、リハビリテーション、お薬の使用などです。症状が重くなると治療にともなう痛みは増える傾向にありますが、軽症であればほとんど痛みなく治療できます。

お気軽に当院までご相談ください

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